この記事では、書籍「経営戦略全史」の要約とレビューを紹介しています。
SWOT分析やアンゾフ・マトリクスなどの戦略は知ってるけど、経営戦略論全体における位置付けがわからない!、中小企業診断士試験を受験しようと考えている!
そんなあなたにおすすめしたいビジネス本が「経営戦略全史」です。
本書の要約
本書を読むと、20世紀初頭から今に至る約100年の経営戦略論の流れを理解できるようになります。
なぜなら、本書は、筆者が自身のアクセンチュア等での約20年間の勤務経験や、改めて見返した数十冊の本など、様々な情報源を元に、それらを解体・再統合してまとめられているからです。
筆者が掲げる本書の具体的な4つの使い方はこちらのとおりです。やはり、経営戦略論の全体像を掴むものになっています。
教科書的に | 経営戦略論の流れや史実、関連項目が一覧できる |
辞書的に | 気になる単語の意味や位置づけを索引から調べる |
百科事典的に | 関心ある項目について関連情報がわかる |
物語的に | どうやって経営戦略論が生まれ、進化してきたかを楽しむ |
ここで、本書で紹介されている経営戦略史をざっくり御紹介します。
20世紀初頭 | 3つの源流のはじまり ①テイラーの科学的管理法 ②メイヨーの人間関係論 ③フェイヨルの経営・管理プロセス |
1950年代前後 | 近代マネジメントの創生 ex) ドラッカー、アンゾフ、チャンドラー、コトラー |
60〜80年代 | ポジショニング派の君臨 |
80年代中盤 | ケイパビリティ派(組織、ヒト、プロセスなど)の勃興 |
90年代後半 | ポジショニング派の逆襲 |
2000年代 | コンフィギュレーション派の登場 ex) ミンツバーグ |
ここ10年 | アダプティブ戦略 |
源流である、大テイラー主義ともいわれる「定量的分析」と、大メイヨー主義ともいえる「人間的議論」は、その後のポジショニング派とケイパビリティ派の戦いに繋がっていきます。
ポジショニング派は、「外部環境が大事。儲かる市場で儲かる立場を占めれば勝てる」と考え、次のような分析ツールを生み出してきました。
・アンゾフ・マトリクス
・SWOT分析
・経験曲線
・成長・シェアマトリクス(PPM)
・ビジネス・システム
・5力分析
一方、ケイパビリティ派は、「内部環境が大事。自社の強みがあるところで戦えば勝てる」と考え、企業活動は人間的側面が重く定性的議論しか馴染まない、としています。
年表の一番最後にあるアダプティブ戦略は、「やってみなくちゃわからない。どんなポジショニングで、どんなケイパビリティで戦うべきなのか、試行錯誤して決めよう」という考え方です。
本書のレビュー
私自身、本書により、経営戦略論の大きな流れを理解することができました。
流れを理解すると、個別の戦略論の理解が進みやすくなるため、中小企業診断士試験の受験時に出会っていれば、もっと楽に合格できましたね…
加えて、本書は、歴史を活き活きと描くために、あえて個人名を出したり、テイラー対メイヨーなどのバーチャル対談を描いたり、読みやすくする工夫がなされている点が特長です。
経営戦略論の本の中には、購入したものの、読み進まずに、部屋の隅に積み上がるものもありますが(私自身そうです)、その点、本書は、気楽に手に取れる一冊になっています。
まとめ
今回は、20世紀初頭から今に至る約100年の経営戦略論の流れを理解できるようになる名著「経営戦略全史」を紹介させていただきました。
SWOT分析やアンゾフ・マトリクスなどの戦略は知ってるけど、経営戦略論全体における位置付けがわからない!、中小企業診断士試験を受験しようと考えている!そんなあなたにおすすめできる一冊です。
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